トワのブログ

「警笛が鳴る頃に」更新中

警笛が鳴る頃に(第6話「485、281」)

アラン「分からない?」
トワ「はい…ですからお答えしようにも出来なくて…ごめんなさい……」
アラン「なるほど…ってことはどっかの電車からの思念体が生命体化したのか…?」
トワ「…??」
アラン「ん〜そうだとしたら…」
アランさんはある方向を指さしました。その方向は…
アラン「館内に管理室がある。そこの管理人に聞くといいだろう」
トワ「管理人さん…ですか…」
アラン「俺が出来ることと言ったらここまでだからさ。とりあえず行ってこい」
トワ「はい!!ありがとうございました!!」
そう言って私は館内に入る。
…そして私は恐る恐る管理人さんの元へと向かいました。
あの後バッグを見てみるともう一つ別の青いマフラーがあったので、流石に緑は目立つと思い「JR」のバッジがついた青のマフラーに巻きなおしました。
トワ「あ、あの…」
管理人「ん?どうしました?」
トワ「ヒェッ…」
管理人「……もしかして…電車の思念体が…?」
トワ「えっと…私は…」
バッグの中から先程説明した「TE」のバッジを取り出して管理人さんに見せる。
管理人「TE…ということはトワイライトエクスプレスやんね。せやったら君はトワイライト、通称トワ、なんてどうだい?」
トワ「トワイライト…!!」
管理人「よしよし。君の名前はトワイライトだ。それじゃあねぇ…」
と言いながら管理人さんは私を連れて管理室に入る。
トワ「おぉ…!!」
思わず感嘆の声をあげてしまった。
管理人「えーっと…これこれ」そういって管理人さんが左から2番目の引き出しから取り出したのは少し大きな紙。
その紙の左上端には「電車思念体用パスポート」と書かれていた。
トワ「これは…なんですか?」
管理人「これは電車の思念体が生命体化してケモノになった時に使うパスポートの表だよ。」
トワ「パスポート…?」
なにがなんだかちんぷんかんぷんだった。
管理人「そう。俺ら人間は普通、電車やホテルに泊まる時、食べ物や食材を買う時等はこういうお金を使っているんだけどね。」
そう言って管理人さんはそこら辺にある100円玉を見せてくれた。
トワ「高価な物っぽいです…」
管理人「まぁ高価っちゃ高価だね…。だけどトワのようなケモノたちは人間が使うお金は持てないんだ。」
トワ「そうなんですか!?」
管理人「この世界の他にケモノの世界があるとは聞いたことがあるけど…その世界によって違うんじゃないかな?」
トワ「へぇええ…」
管理人「そこでお金の代わりに使うのがこのパスポート。略して電パス。」
トワ「電パス…」
管理人「ここの世界じゃケモノは珍しいんでね。君達を捕まえてオークションに売ったりする密猟とかに会わないか心配だけど…」
トワ「密猟…?そんなのが…」
管理人「実は君以外にも電車の思念体が生命体化した子達が結構いるんだ。その子達も前に電パスを更新しに来たんだけど…」
トワ「……」
電パスの作成には少し時間がかかるそうなので、それまで私は館内を歩き回っていることにしました。
トワ「うひゃあ…パンタグラフが動いた…」
パンタグラフが動く装置をいじくっていた時、ふと思いました。
トワ「あれ?なんで私パン(タグラフ)のこと知ってるんだろ…」
これも生まれつき備わった知識なのかなとか思い再び館内を歩いていると、
???「なんじゃお主は?見ない顔じゃのぅ」
??「こらこら天津神、そんな口聞いたらダメでしょ」
二人のケモノが話しかけてきた。
トワ「……えっと…」
天津神「あぁすまん。童は天津神。「はるか」から出来たケモノじゃ。」
日向「私は日向(ひゅうが)。名前の通り「ひゅうが」から出来たケモノよ。あなたは?」
トワ「私は…トワイライトです。トワイライトエクスプレスから出来たケモノです」
それを聞くと天津神さん達は少し驚いていた。
天津神トワイライトエクスプレスか…旧式か?」
トワ「多分そうだと思います…」
日向「まさか寝台列車の思念体が生命体化するとは…」
トワ「寝台列車…?トワイライトエクスプレスってそんなに高いんですか?」
天津神「童らはお主と同じ存在じゃから気にしたことはないが…」
日向「管理人さんに聞くと結構かかるらしいわよ?」
トワ「へぇ……」
天津神「それで、お主は何をしてるんじゃ?」
唐突に本題に戻されて少し戸惑った。この人…不思議な性格してるなぁ…
トワ「あっえと…電パスが出来てないのでその暇つぶしに…」
日向「あぁなるほどね!!もうすぐ出来てるんじゃないかな?」
トワ「ほんとですか!?」
天津神「時間帯だと出来てるじゃろう。行ってきんさいな」
トワ「あっはい!!失礼します!!」
私は二人の前でお辞儀をして管理室へと少し早歩きで向かった。